社内飲食費の損金不算入を千代田区の税理士が解説

会社の忘年会や従業員との食事会、こうした費用はすべて経費として認められると思っていませんか。実は社内での飲食にかかる費用は、処理の仕方を間違えると予想外の税負担を招く可能性があります。

社内飲食費が損金として認められるかどうかは、支出の目的や参加者の範囲によって大きく変わります。福利厚生費として全額を経費にできるケースもあれば、交際費として制限を受けるケースもあり、さらには給与として課税されてしまう場合さえあります。令和6年度の改正で1人あたり1万円基準が導入されましたが、これは社外との飲食に限られ、社内での食事には適用されません。

千代田区で事業を営む経営者の方にとって、こうした細かなルールを正確に理解することは簡単ではありません。しかし適切な処理をしなければ、税務調査で指摘を受けたり、余計な税金を支払ったりするリスクがあります。この記事では、社内飲食費の正しい取り扱いから損金不算入となる理由、さらには会社規模による違いまで、実務で必要な知識を分かりやすく解説していきます。

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社内飲食費でも認められるケース

福利厚生費として扱える要件

会社の役員や従業員との食事代はすべて経費として認められない、と思い込んでいませんか。実は条件を満たせば、きちんと福利厚生費として処理できる場合があります。

従業員の慰安を目的とした飲食であれば、福利厚生費として全額を経費に計上できる可能性があります。たとえば全社員が参加できる新年会や忘年会、プロジェクト完了後の打ち上げといった行事で提供される飲食費が該当します。ここで重要なのは全従業員を対象にしているという点です。役員だけの懇親会や一部の社員に限定された食事会では、福利厚生費としての要件を満たしません。

また従業員全員が利用できる社員食堂の費用や、休憩室に置かれた飲み物代なども福利厚生費として扱えます。ただし従業員が食事代の一部を負担していることが条件になります。会社が全額負担すると給与とみなされ、従業員に所得税が課税されるリスクがあるため注意が必要です。具体的には、食事の価額のうち従業員が半分以上を負担し、かつ会社の負担額が月額3500円以下であることが目安となります。

会社規模や業種にかかわらず、従業員のために支出する飲食費は適切に処理すれば十分に経費として認められます。ただし税務調査で否認されないよう、参加者リストや領収書などの証拠書類を必ず保管しておくことが大切です。

会議費として認められる飲食の範囲

社外の取引先と食事をしながら打ち合わせをする場面は、ビジネスでよくあることです。このような飲食費を会議費として処理できれば、全額を経費にできるため企業にとって大きなメリットがあります。

会議費として認められる飲食には、一定の条件があります。まず会議という業務目的が明確であること、そして参加者に社外の方が含まれていることが前提となります。会議室で配布される弁当やお茶、カフェでの打ち合わせ時の飲食代などが典型例です。

令和6年4月以降、会議費として処理できる飲食費の上限が引き上げられました。従来は1人あたり5000円以下でしたが、現在は1人あたり1万円以下の飲食であれば会議費として全額経費にできます。この改正により、より柔軟な打ち合わせの場を設定しやすくなったといえます。

ただし会議費として認めてもらうには、一定の事項を記録した書類の保存が義務付けられています。具体的には飲食があった日付、参加者の氏名や会社名、人数、費用の総額、店舗の名称や所在地などです。これらの情報を領収書の裏面にメモしておくだけでも十分です。

給与課税となるケース

社内で飲食費を支出したとき、状況によっては給与として扱われ、従業員に所得税がかかる場合があります。この給与課税のリスクを避けるため、どのようなケースが該当するのかを理解しておく必要があります。

特定の従業員だけを対象とした飲食や、業務と関係のない食事代は給与として課税される可能性が高くなります。たとえば上司が特定の部下だけを誘った私的な食事会や、役員だけが参加する高額な懇親会などがこれに該当します。福利厚生費として認められるには、全従業員に対して平等に提供されることが原則だからです。

さらに現金や商品券といった換金性の高いものを食事代として支給した場合も、給与とみなされます。食事補助は現物で提供することが基本であり、現金支給は避けるべきです。社員食堂の設置や仕出し弁当の提供といった形で福利厚生を実施すれば、給与課税のリスクを回避できます。

また会社が食事代を全額負担すると、その金額が給与として扱われる恐れがあります。先ほど触れたように、従業員が食事代の半分以上を負担し、会社負担が月額3500円以内であれば課税されません。この基準を超える負担をする場合は、給与として源泉徴収が必要になる点に注意してください。

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社内飲食費が損金不算入とされる理由

交際費課税の対象となる要因

会社が役員や従業員に対して接待や慰安を行うために支出する飲食費は、税法上では社内飲食費と呼ばれます。この社内飲食費は原則として交際費として扱われ、一定の制限を受けることになります。

交際費課税制度は、企業の冗費を抑制し健全な経営を促すために設けられた仕組みです。昭和29年に導入されて以来、何度も改正を重ねながら現在まで続いています。社内飲食費を無制限に経費として認めてしまうと、税負担を不当に軽減する手段として利用される恐れがあるため、一定の歯止めがかけられているわけです。

社内での飲食であっても、1人あたり1万円以下という基準は適用されません。令和6年度の改正でこの基準が引き上げられましたが、対象はあくまで社外の方との飲食に限られます。つまり従業員だけの食事会で1人あたりの費用が1万円以下であっても、原則として交際費扱いとなり、福利厚生費や会議費の要件を満たさない限りは制限を受けます。

会計・税務上の整合性と除外規定

社内飲食費は税法上の取り扱いにおいて、社外飲食費とは明確に区別されています。これは企業内部での支出と対外的な支出では、その性質が異なるためです。

会計上は飲食費として同じように処理されても、税務上では社内か社外かによって適用されるルールが変わります。社外の取引先との飲食であれば、1人あたり1万円以下の基準を満たすことで全額を経費にできます。しかし社内の従業員だけの飲食では、この基準が使えません。代わりに福利厚生費としての要件を満たすか、あるいは交際費として一定額まで経費にするかの選択になります。

ただし親会社の役員や完全子会社ではないグループ会社の従業員との飲食は、社内飲食費には該当しません。たとえ資本関係が100パーセントの親会社であっても、法人格が異なる以上は社外の者として扱われます。また同業者同士の懇親会や取引先と共同開催する食事会で自己負担分を支払った場合も、相互に接待し合っているとみなされ社内飲食費からは除外されます。

社内飲食費と損金不算入の基本

社内飲食費の定義と関連する費用区分

法人が役員や従業員、あるいはその親族に対して接待や慰安を目的に支出する飲食費を、税法では社内飲食費と定義しています。この定義は非常に重要で、処理方法を間違えると余計な税負担が生じる可能性があります。

社内飲食費に該当するかどうかの判断基準は、支出の相手が誰かという点です。自社の役員や従業員が対象であれば社内飲食費になります。一方で取引先や仕入先など社外の方が1人でも含まれていれば、その飲食費は社外飲食費として扱われ、適用されるルールが変わってきます。

飲食費は大きく分けて交際費、会議費、福利厚生費の3つに区分されます。交際費は取引先との関係強化を目的とした支出、会議費は業務上の打ち合わせに伴う支出、福利厚生費は従業員の慰安や福利を目的とした支出を指します。同じ飲食費でも目的や参加者によって勘定科目が変わるため、それぞれの要件を正確に理解しておく必要があります。

たとえば取引先と会議をしながら食事をした場合、1人あたり1万円以下であれば会議費として処理できます。しかし従業員だけで同じ金額の食事をしても会議費にはならず、福利厚生費か交際費のいずれかになります。このように状況に応じた適切な仕訳が求められます。

損金算入と損金不算入の違い

法人税を計算する際、会計上の費用がすべて税務上の経費として認められるわけではありません。税務上認められる経費を損金、認められないものを損金不算入と呼びます。この違いを理解することが、適切な税務処理の第一歩です。

損金として認められる金額が多ければ多いほど、課税対象となる所得が減り、結果として納める法人税も少なくなります。逆に損金不算入の金額が大きくなると、会計上は費用として処理していても税務上は経費として認められないため、その分だけ税負担が増えることになります。

社内飲食費が制限を受ける理由は、この損金不算入制度にあります。交際費として扱われる社内飲食費は、原則として全額が損金不算入です。ただし会社の規模によって一定額まで損金算入が認められる特例があり、中小企業であれば年間800万円まで、あるいは接待飲食費の50パーセント相当額までを選択して経費にできます。

一方で福利厚生費として適切に処理された飲食費は、全額が損金として認められます。会議費も同様に全額損金算入が可能です。このため多くの企業では、できる限り福利厚生費や会議費として処理できるよう工夫しています。ただし実態に合わない処理をすれば税務調査で否認されるリスクがあるため、形式だけでなく実質的な判断が重要になります。

社内飲食費が損金不算入となる税法上の扱いと制度改正

交際費等の損金不算入制度の概要

法人が支出する交際費は、原則としてすべてが損金不算入とされています。これは昭和29年に導入された制度で、企業の過剰な接待や贈答を抑制し、公正な競争環境を整えることが目的でした。当初は3年間の臨時措置として始まりましたが、その後何度も期限が延長され、現在まで続いています。

この制度の基本的な考え方は、交際費が事業に必要な経費であるとしても、無制限に認めると税負担の公平性が損なわれるというものです。特に大企業が豊富な資金力を背景に過度な接待を行うことで、中小企業との競争条件に格差が生じる恐れがあります。そのため税法では一定の枠を設けて、その範囲内でのみ経費として認めるという仕組みになっています。

社内飲食費もこの交際費等の範囲に含まれます。従業員に対する接待や慰安のための支出であっても、福利厚生費などの要件を満たさなければ交際費として扱われ、制限を受けることになります。法人の規模に応じて損金算入できる金額が異なり、資本金1億円以下の中小企業には優遇措置がある一方で、大企業にはより厳しい制限が課されています

令和6年度改正「1人1万円ルール」と従来制度の比較

令和6年度税制改正により、飲食費に関する重要な変更が行われました。従来は1人あたり5000円以下の飲食費であれば交際費から除外できましたが、この基準が1万円に引き上げられたのです。この改正は令和6年4月1日以降に支出する飲食費から適用されています。

改正の背景には、近年の物価上昇や経済環境の変化があります。5000円という基準は長年据え置かれていたため、実際のビジネスシーンでは使いづらくなっていました。1万円への引き上げにより、より柔軟な接待や打ち合わせが可能になり、中小企業の経済活動を促進する効果が期待されています。

ただしこの1万円基準が適用されるのは、社外の方との飲食に限られます。従業員だけの食事会では、たとえ1人あたり1万円以下であっても交際費から除外できません。つまり社内飲食費については、従来どおり原則として交際費扱いとなり、福利厚生費の要件を満たさない限りは制限を受けることになります。

また同じ事業年度内に5000円基準と1万円基準が混在する点にも注意が必要です。たとえば3月決算の会社であれば、令和6年4月から令和7年3月までの事業年度において、令和6年3月までの支出は5000円基準、4月以降の支出は1万円基準で判定することになります。経理処理の際には支出日を確認し、正しい基準を適用する必要があります。

社内飲食費の損金不算入に関する実務での対応ポイント

勘定科目の使い分けと仕訳処理

飲食費を適切に処理するには、まず交際費、会議費、福利厚生費の使い分けを理解することが欠かせません。同じ飲食費でも、目的や参加者によって勘定科目が変わり、それに伴って税務上の取り扱いも大きく変わってきます。

実務では補助科目を活用することで、後から集計や確認がしやすくなります。たとえば交際費という勘定科目の下に、5000円基準や1万円基準の飲食費、50パーセント損金算入の対象となる飲食費、損金不算入の対象となる交際費といった補助科目を設定する方法があります。こうすることで決算時に交際費の計算がスムーズに進みます。

取引先と打ち合わせをしながら食事をした場合、1人あたり1万円以下であれば会議費として全額を経費にできます。しかし従業員だけの食事会では、たとえ同じ金額でも会議費にはなりません。全従業員を対象とした懇親会であれば福利厚生費、一部の従業員だけであれば交際費か給与として処理する必要があります。

仕訳の際には参加者の内訳や食事の目的を明確にし、適切な勘定科目を選択することが重要です。判断に迷う場合は、保守的に交際費として処理しておく方が安全です。後から福利厚生費に振り替えることは可能でも、逆に交際費と指摘されて追徴課税を受けるリスクは避けたいところです。

証票・明細の保存要件

飲食費を会議費として処理する場合や、1人あたり1万円以下の特例を適用する場合には、一定の事項を記載した書類の保存が義務付けられています。この保存要件を満たさなければ、税務調査で否認される可能性があります。

具体的に必要な記載事項は、飲食があった年月日、参加した取引先などの氏名や会社名とその関係、参加人数、費用の総額、店舗の名称と所在地です。これらの情報は領収書だけでは不足する場合が多いため、領収書の裏面にメモを書き込むか、別途管理表を作成しておくと良いでしょう。

特に参加者の氏名や会社名は重要です。誰とどのような目的で会食したのかが明確でなければ、業務上必要な支出だったのか判断できません。また参加人数の記載がなければ、1人あたりの金額を計算できず、1万円基準を満たしているか確認できなくなります。

領収書は原本を保管することが原則ですが、電子帳簿保存法の要件を満たせば電子データでの保存も認められています。いずれにしても後から確認できる状態で保存しておくことが大切です。税務調査は何年も経ってから入ることがあるため、最低でも7年間は確実に保管しておく必要があります。

千代田区で事業を営む経営者の方々にとって、こうした細かな実務対応は負担に感じられるかもしれません。特に社内での飲食費に関する取り扱いは複雑で、判断に迷うケースも少なくありません。適切な会計処理と税務対応を行うためには、専門家のサポートを受けることも一つの選択肢です。地域に根差した税理士であれば、個別の事情に応じたアドバイスを受けられます。

社内飲食費の損金不算入と法人規模による取扱いの違い

中小法人の優遇措置

資本金1億円以下の中小法人には、交際費に関する特例措置が設けられています。この優遇措置により、一定額までの交際費を損金として算入することが可能になります。

中小法人は2つの選択肢から有利な方を選べます。1つ目は年間800万円までの交際費を損金算入する方法です。2つ目は接待飲食費の50パーセント相当額を損金算入する方法になります。どちらを選択するかは企業の実情に応じて判断しますが、一般的には接待飲食費が年間1600万円を超える場合に50パーセントルールが有利になるとされています。

ただし注意が必要なのは、1人あたり1万円以下の飲食費で書類保存要件を満たすものは、そもそも交際費から除外されるという点です。つまり800万円や50パーセントの計算をする前に、まず1万円以下の飲食費を差し引いて計算します。この除外分は全額が損金算入できるため、企業にとっては大きなメリットです。

社内飲食費については1万円基準の適用がないため、原則として交際費の枠を消費することになります。ただし福利厚生費の要件を満たせば、交際費の枠とは関係なく全額を損金算入できます。このため従業員の慰安を目的とした飲食は、できる限り福利厚生費として処理できるよう工夫することが節税のポイントになります。

大法人における制限

資本金1億円を超える法人や、資本金5億円以上の会社の100パーセント子会社などは、中小法人の優遇措置を受けられません。大法人に対しては、より厳格な制限が課されています。

資本金1億円超100億円以下の法人の場合、接待飲食費の50パーセント相当額のみが損金算入を認められます。800万円の定額控除は適用できないため、中小法人と比べて税負担が重くなる傾向があります。さらに資本金100億円を超える超大企業については、原則として交際費の全額が損金不算入となり、接待飲食費の50パーセントルールも適用されません。

ただし大法人であっても、1人あたり1万円以下の飲食費で書類保存要件を満たすものは交際費から除外され、全額を損金算入できます。この点は中小法人と同じ扱いです。令和6年度の改正で基準が1万円に引き上げられたことは、大法人にとって実質的な減税効果をもたらしたといえます。

大法人の場合、交際費の管理が一層重要になります。多額の交際費を支出する企業では、どれだけの金額が損金不算入になるかを常に把握しておく必要があります。決算前に交際費の使用状況を確認し、必要に応じて支出を調整することで、税負担を最適化できる場合があります。

千代田区には大小さまざまな企業が集まっています。会社の規模によって適用される税制が異なるため、自社がどのルールに該当するのかを正確に理解しておくことが大切です。特に資本金が1億円前後の企業や、グループ再編を検討している企業では、税制上の取り扱いが変わる可能性があるため、専門家に相談しながら慎重に判断することをおすすめします。

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社内飲食費と損金不算入のまとめ

社内での飲食にかかる費用は、目的や参加者によって税務上の扱いが大きく変わります。全従業員を対象とした慰安目的の食事会であれば福利厚生費として全額を経費にできますが、一部の社員だけを対象とした飲食や業務と関係のない食事は給与課税を受けるリスクがあります。また令和6年度の改正で1人あたり1万円基準が導入されましたが、これは社外の方との飲食に限られ、社内での食事には適用されません。会社の規模によっても取り扱いが異なり、中小法人には年間800万円の優遇措置がある一方で、大法人にはより厳しい制限があります。適切な処理を行うには証拠書類の保存が欠かせず、判断に迷う場合は千代田区で実績のある税理士に相談することで、税務リスクを回避しながら最適な処理方法を見つけることができます。

区分 対象者 主な要件 税務上の扱い
福利厚生費 全従業員 慰安目的で全員が対象、従業員負担あり 全額損金算入
会議費 社外の方を含む 1人1万円以下、業務目的、書類保存 全額損金算入
交際費(社内飲食費) 役員・従業員のみ 1万円基準は適用外 制限あり(会社規模による)
給与 特定の従業員 私的な食事、現金支給 源泉徴収が必要
中小法人の特例 資本金1億円以下 年800万円または飲食費50% 選択適用可能
大法人の制限 資本金1億円超 飲食費50%のみ(100億円超は全額不算入) 厳しい制限
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