法人を経営していると、事業年度の途中で納税の通知が届いて驚いたことはありませんか。中間の時期に求められる手続きについて、書類を出さなくても問題ないのか、それとも何かペナルティがあるのか、不安を感じている経営者も多いはずです。
実は前期の納税額が一定を超えると、今期の半年時点で税金を前払いする義務が生まれます。この手続きを理解せずに放置してしまうと、想定外の延滞税や加算税が発生し、資金繰りに深刻な影響を与える可能性があります。
一方で、書類を出さなくても自動的に処理される仕組みや、そもそも手続きが不要になる条件も存在します。どのような法人が対象で、どんな方式を選べば有利なのか。千代田区で事業を営む経営者にとって、この知識は資金計画を立てるうえで欠かせません。
この記事では、中間の手続きを出さない場合のリスクから、提出が不要になるケース、そして2つの申告方式のメリットとデメリットまで、実務に役立つ情報を分かりやすく解説していきます。
法人税の中間申告書を提出しない場合のリスクと対応
法人を経営していくなかで、事業年度の中間時点で納める税金があるのをご存じでしょうか。この時期に行うのが中間の手続きで、前期の納税実績をもとに今期の税額を前払いする仕組みです。ところが、この手続きをうっかり忘れてしまったり、書類を期限内に出さなかったりした場合、どうなるのでしょう。
実は単純な忘れや放置が、思わぬ負担を呼び寄せてしまいます。
延滞税・加算税・ペナルティの可能性
期限までに納めなかった本税に対しては、納期限の翌日から実際に納めるまでの日数に応じて延滞税が発生します。この延滞税は納付が遅れれば遅れるほど金額が増えていくので、気づいたときには予想外の金額になることもあるのです。
法定納期限の翌日から2か月以内であれば年2.4パーセント程度、2か月を超えると年8.7パーセント程度と税率が大きく変わります。つまり、遅れる期間が長くなれば利息のような負担がどんどん重くなっていくわけです。
もちろん延滞の分だけで済むわけではありません。場合によっては加算税とよばれるペナルティも課されます。過少申告加算税は、確定申告した税額が実際に支払うべき税額よりも少なかった場合に課されるペナルティで、増差額に対して10パーセント、一定額を超える部分には15パーセントが上乗せされます。さらに、意図的な隠ぺいや仮装が認められた場合には重加算税という重いペナルティもあるため、決して軽視できません。
こうした負担を避けるためにも、期限はしっかり守る必要があります。
提出漏れ後の是正・修正手続き
もし期限を過ぎてしまったとしても、そのまま放置するのは最悪の選択です。気づいた段階で速やかに対応すれば、延滞にかかる日数を短くできます。
加算税は自主的に申告することで税率が軽減されるため、早めの対応が最も重要です。提出漏れに気づいたら、まず税務署に連絡して状況を説明し、できるだけ早く必要な書類をそろえて納付する姿勢が求められます。税務調査で指摘される前に自分から動くことで、結果的に負担を抑えられる可能性が高まります。
また、提出は遅れても納付自体を速やかに済ませることで、延滞にかかる日数を最小限にとどめられるでしょう。都内の企業であれば、千代田区税理士など千代田区周辺で相談できる専門家も多く、具体的なアドバイスを受けやすい環境があります。
法人税の中間申告書を提出しないケース(提出不要になる場合)
すべての法人が中間の手続きをしなければならないわけではありません。一定の条件を満たせば、そもそもこの手続きが不要になる場合があります。
前事業年度の税額による基準(前期実績基準額)
前事業年度の確定法人税額が20万円を超える場合、つまり中間申告での納税額が10万円超になる場合は、法人税の中間申告を行わなくてはなりません。逆に言えば、前期の確定税額が20万円以下だった場合や、前期が赤字だった場合には、中間の手続きは求められません。
この基準は実にシンプルです。前期に納めた税金が少なければ、今期の中間時点で前払いを求められることもないということです。
創業間もない企業や規模が小さい企業では、この基準に該当して手続きが不要になるケースも少なくありません。自社の前期実績を確認して、今期に中間の義務があるかどうかを早めに把握しておくことが大切でしょう。
新設法人・短期事業年度など特例的ケース
設立初年度の法人であっても、合併による設立の場合は中間納付が義務付けられることがあります。この場合、合併前の法人の実績も考慮して中間納付額を算出する必要があります。つまり、通常の新設法人であれば前期実績がないので中間の義務は発生しませんが、合併により新しく誕生した法人の場合は例外的に中間の手続きが求められることがあるのです。
また、事業年度が6か月以下の短期事業年度の場合も、中間の手続きは不要になります。定款で定めた事業年度が6か月以下である法人は中間納付が不要です。そもそも事業年度の半分の時点で納めるという仕組みなので、半年以下の期間であれば中間という概念そのものが成り立たないわけです。
さらに、災害などで申告期限が延長された結果、中間の期限と確定申告の期限が同じ日になってしまった場合にも、中間の手続きは不要となります。こうした特例は法律で明確に定められています。
公益法人・非営利法人など除外対象
NPO法人や公益法人といった、収益事業を営んでいない法人の場合は、中間申告を行う必要はありません。これらの法人は営利を目的としていないため、そもそも税額が発生しないか、発生しても少額になる場合が多く、中間の義務が免除されています。
ただし、公益法人であっても収益事業を行っている部分については課税対象となるため、その場合は前期実績に応じて中間の手続きが必要になることもあります。自社の事業内容や法人の種類をしっかり把握し、義務があるかどうかを正確に判断することが重要です。
こうした除外対象に該当するかどうか判断に迷う場合は、専門家に相談するのが確実でしょう。
法人税の中間申告書を提出しないとは
ここまで読んで、手続きを忘れたら大変なことになると感じた方もいるかもしれません。しかし実は、書類を出さなくても自動的に処理される仕組みが用意されています。
提出不要となる法的根拠と制度の概要
納税義務のある法人のうち普通法人で事業年度の期間が6月を超えるものは、中間申告をしなければなりません。ただし、新設後の最初の事業年度の場合や、予定申告書に記載すべき納付税額が100,000円以下の場合または納付税額がない場合は、中間申告をする必要はありません。
この制度により、該当する法人は中間の手続きを免除されます。つまり、前期実績が一定額以下であれば、そもそも手続きをする必要がないということです。
また、事業年度が6か月以下の場合も同様に不要です。こうした法的な根拠をしっかり理解しておくことで、無駄な手間を省くことができます。
みなし申告とは何か(提出しない場合の扱い)
中間申告を行うべき法人が中間申告を期限までに行わなかった場合には、申告期限において中間申告書の提出があったものとみなされます。これをみなし申告といいます。要するに、書類を出さなくても、前期の実績をもとに自動的に申告があったとみなされる仕組みです。
みなし申告は、予定申告での申告がされたとみなされるので、自動的に前期の実績から納付額が算出されます。そして注意すべきなのが、中間申告書の提出をしていない場合でも、中間納付は必要だということです。つまり、書類を出さなくても納めるべき税金は発生しており、期限までに納付しなければ延滞税がかかってしまうのです。
みなし申告は予定方式にのみ適用され、仮決算による方式には適用されません。仮決算を選ぶ場合は、必ず期限内に書類を提出する必要があります。
この仕組みを知っておくと、書類提出を省略しつつ納付だけ済ませることも可能ですが、納付を忘れれば結局ペナルティが発生するため注意が必要です。
法人税の中間申告書を提出しないといけないケース(提出が必要な場合)
では、どのような法人が中間の手続きを行わなければならないのでしょうか。基本的には、営利を目的とした一般的な法人のほとんどが該当します。
普通法人・課税法人に該当する場合
普通法人については、前期実績基準額が10万円を超える場合には、中間申告書を提出しなければならないこととされています。この基準をクリアする法人は、原則として中間の手続きが義務づけられます。
法人税は法人住民税や法人事業税といった地方税とも連動しているため、法人税の中間申告の対象となった場合、地方税においても申告が必要です。つまり、国税だけでなく地方税にも影響が及ぶため、一度の手続きで複数の税金に対応することになります。
前期に一定以上の利益があった企業は、今期も同程度の業績が見込まれるという前提で、早めに税金を納めるよう求められるわけです。この仕組みにより、企業側は資金繰りを計画しやすくなり、国側は安定した税収を確保できます。
千代田区のような都心部では、多くの企業が活発に事業を展開しており、中間の手続きが必要な法人も数多く存在します。専門家のサポートを受けながら、確実に対応していくことが求められるでしょう。
法人税の中間申告書を提出しない際に関係する2つの方式
中間の手続きには、大きく分けて2つの方式があります。それぞれの特徴を理解しておくことで、自社にとって有利な選択ができるようになります。
予定申告と仮決算の違い
予定申告による場合は、前期の法人税額の2分の1の金額が納付税額となります。予定申告による納付額は、税務署から送られてくる予定申告書用紙に記載されているため、自ら計算する必要はありません。手間がかからないのが予定方式の大きな特徴です。
一方、仮決算による方式では、事業年度開始の日以後6ヵ月の期間を一事業年度とみなして、この期間の所得金額及び法人税額または欠損金額を計算し、その額により中間申告書を提出することができます。つまり、実際の半年間の業績をもとに税額を計算し直すため、前期より業績が落ちている場合には納付額を減らすことができるのです。
仮決算に基づく中間申告を行う場合は、中間申告対象期間で年度決算と同じように法人税の申告書を作成し、提出します。仮決算をした場合は、中間申告書に、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及び勘定科目内訳明細書等を添付して提出する必要があります。書類作成の手間は増えますが、資金繰りの観点からは有利になる場合があります。
各方式のメリット・デメリット
予定方式のメリットは、何といっても手続きが簡単なことです。税務署から届いた書類の金額をそのまま納めるだけで済むため、事務負担が少なくて済みます。中間申告書を提出しなかった場合は、予定申告による中間申告があったものとみなされますので、中間申告書を提出しない会社も多いです。その場合は、法人税の中間納付だけ行います。
ただし、前期に大きな利益が出て今期は業績が落ちている場合、前期実績をもとに計算されるため資金繰りが厳しくなる可能性があります。予定申告の場合、前期に大きな利益が出て、当期はそれほど利益が出ないような場合には資金繰りが厳しくなる恐れがありますので、早めに中間納付の金額を確認するようにしましょう。
一方、仮決算の方式では、実際の業績に応じた税額を計算できるため、業績が悪化している場合には納付額を抑えられます。ただし、通常の決算と同様の書類を作成しなければならないため、事務負担が重くなる点がデメリットです。
なぜなら、還付申告を行えば、法人税だけでなく利息的な性格を持つ還付加算金も合わせて受け取ることができるからです。資金繰りの負担を減らす仮決算ですが、通常の決算と同様の書類提出が求められるため、予定申告ほど簡単ではありません。仮決算を行う場合には、資金繰りの負担と事務手続きの煩雑さを天秤にかけて検討するとよいでしょう。
どちらの方式を選ぶかは、自社の業績や資金繰りの状況、事務処理能力などを総合的に判断して決めることになります。千代田区のように企業が集中するエリアでは、こうした判断をサポートしてくれる税理士事務所も多く、相談しやすい環境が整っています。
法人の経営において、中間の手続きは避けて通れない重要な義務です。提出の有無や方式の選択によって、資金繰りや事務負担が大きく変わるため、自社の状況に合った対応を心がけることが大切でしょう。専門家の力を借りながら、確実に手続きを進めていくことをおすすめします。
法人税の中間申告書を提出しない場合のまとめ
法人税の中間申告書を提出しない場合でも、みなし申告という仕組みによって自動的に前期実績をもとにした納税義務が発生します。ただし書類の提出を省略できても、納付そのものを忘れれば延滞税というペナルティが課されてしまうため注意が必要です。
前期の確定税額が20万円以下であれば、そもそも中間の手続き自体が不要になるため、自社の前期実績をしっかり把握しておくことが大切です。また新設法人や短期事業年度、公益法人など除外対象に該当する場合もあります。
中間の手続きには予定申告と仮決算という2つの方式があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。予定方式は手間がかからない反面、業績が悪化していると資金繰りが厳しくなる可能性があります。仮決算は実際の業績に応じた納付額になりますが、書類作成の負担が重くなります。
千代田区のような都心部では、こうした税務の手続きをサポートしてくれる税理士も多く存在します。専門家のアドバイスを受けながら、自社にとって最適な方法を選択していくことをおすすめします。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 中間申告が必要な法人 | 前期の確定法人税額が20万円を超える普通法人 |
| 中間申告が不要な法人 | 前期税額20万円以下、新設法人(合併を除く)、短期事業年度(6か月以下)、収益事業を営まない公益法人など |
| 申告期限 | 事業年度開始日から6か月経過した日の翌日から2か月以内 |
| みなし申告 | 期限までに申告書を提出しなくても、予定申告があったものとみなされる(納付は必要) |
| 予定申告方式 | 前期法人税額の2分の1を納付。手続きが簡単だが業績悪化時に資金繰りが厳しくなる |
| 仮決算方式 | 半年間の実績で税額を計算。業績に応じた納付額になるが書類作成の負担が大きい |
| 提出しない場合のリスク | 延滞税(納期限翌日から2か月以内は年2.4%程度、2か月超は年8.7%程度)、場合により加算税も発生 |
| 確定申告での精算 | 中間納付額は確定申告時に控除され、払いすぎた場合は還付される |
